インボイス制度や電子帳簿保存法の対応に追われる中、マネーフォワードクラウド会計を導入されている方には朗報です。マネーフォワードクラウド会計のユーザーの方は、2022年1月の電子帳簿保存法改正に対応したマネーフォワードクラウドBoxが無料で利用できる様になりました。
さらに、うれしい機能がECサイト等で発行される電子領収書や電子請求書等の証憑データを自動的に取り込む「証憑自動取得機能」が使えるようになりました。対応するECサイトは2022年6月現在まだ少ないですが、これから対応サイトが増えてくる見込みです。
今回はマネーフォワードクラウドの証憑自動取得機能を中心に、マネーフォワードクラウドBoxなどを簡単に説明させて頂きます。
- ■ 1. なぜ電子証憑を電子保存する必要があるのか?
- ■ 2. 令和4年1月1日より電子帳簿保存法改正
- ■ 3. 令和5年10月1日よりのインボイス制度
- ■ 4. マネーフォワードクラウド証憑自動取得機能
- ■ 5. マネーフォワードクラウド証憑自動取得機能の対応ECサイト
- ■ 6. マネーフォワードクラウドBox
- ■ 7. 最後に
1.なぜ電子証憑を保存する必要があるのか?
電子証憑(領収書や請求書等)を電子保存する必要性として大きくは2つの理由があります。
一つ目は、もうすでに始まっているのですが、令和4年1月の電子帳簿保存法改正により、電子取引の電子保存が義務付けられました。このことにより、電子保存の要件に合致したクラウドサービスなどの利用が必要になってきました。
二つ目は、ECサイト等から購入した物品などもインボイス制度の対応が必要です。令和5年10月1日以降の取引に影響が出てきます。消費税の仕入税額控除を行うにあたり、取引先が発行する請求書等で適格請求書発行事業者であるかどうかを登録番号で確認する必要があります。
2.令和4年1月1日より電子帳簿保存法改正
令和4年1月電子帳簿保存法改正とは
電子帳簿保存法とは、会計帳簿や決算書、請求書、領収書などの国税関係帳簿・書類等を、一定の要件を満たせば電子データで保存することを認める法律です。電子帳簿保存法で認められている保存方法には「電子データ保存」と「スキャナ保存」があります。
この改正の中で最も影響がでてくるのが、メールやECサイトから物品を購入した際に受け取った証憑(領収書や請求書など)の電子データの保存が義務化されたことです。
これは、電子データをPDFなどで保存するだけでなく、一般的には、タイムスタンプや訂正・削除できないシステムを利用して、「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できる仕組みが必須となります。
詳細は、弊社の過去の記事「電子帳簿保存法への対応!」をご参照してください。
▶電子帳簿保存法への対応!
適用時期
令和4年1月1日より
※ただし、宥恕措置により「やむを得ない事情」がある場合には、令和4年1月から2年間は紙での保存も容認されることが令和3年12月に発表されました。
3.令和5年10月1日よりのインボイス制度
インボイス制度とは
適格請求書等保存方式のことで、適格請求書は適用税率や税額等の記載を義務付けた請求書のことです。消費税の仕入税額控除を行うにあたり適格請求書発行事業者の登録番号が記載されているかを確認や適格請求書を保存する必要があります。
詳細は、弊社の過去の記事「インボイス制度 登録申請開始近づく」をご参照してください。
▶インボイス制度 登録申請開始近づく
適用時期
令和5年10月1日より
※令和5年10月1日以後は、免税事業者や消費者など、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れは、原則として仕入税額控除を行うことができません。
ただし、区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等及びこの経過措置の規定の適用を受ける旨を記載した帳簿を保存している場合には、下記に記載した一定の期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除できる経過措置が設けられています。
●令和5年10月1日から令和8年9月30日まで・・・仕入税額相当額の80%
●令和8年10月1日から令和11年9月30日まで・・・仕入税額相当額の50%
4.マネーフォワードクラウド証憑自動取得機能
ECサイト等のサービス(例:Amazonなど)とマネーフォワードクラウド会計を連携することにより、取引データを自動取得することに加えて「証憑データを自動添付」される機能が追加されました。
自動取得した証憑データは、電子帳簿保存法対応ストレージサービス「マネーフォワード クラウドBox」上に保存されるため、タイムスタンプ付与等の電子帳簿保存法(電子取引区分)の保存要件に則って手間なく自動保存できます。
証憑自動取得機能の設定
証憑自動取得機能を利用する場合の設定は簡単です。マネーフォワードクラウド会計のデータ連携の新規登録を行う際に「証憑の自動取得」の「有効にする」にチェックをいれ、「連携登録」ボタンから登録操作を行います。
詳細はマネーフォワードクラウド会計「連携データの新規登録」の使い方をご参照ください。
▶「連携データの新規登録」の使い方
証憑自動取得のサンプル画面
マネーフォワードクラウド会計の「自動で仕訳」の「連携サービスから入力」を選び、対象の連携サービスを開いて、画面右側のクリップマークをクリックすると、画面下側に自動取得した領収書等が表示されます。このデータは自動でマネーフォワードクラウドBoxにPDFで登録されています。
▶『マネーフォワード クラウド』インボイス制度対応の第一弾「証憑自動取得機能」を提供開始
5.マネーフォワードクラウド証憑自動取得機能の対応ECサイト
証憑データの自動取得に対応している連携サービスは以下の通りです。
・Amazon.co.jp
・Yahoo!ショッピング
・MISUMI-VONA
・楽天市場(my Rakuten)
※令和4年6月18日現在
現在は対応サイトが少ないですが、今後増えてくる見込みです。ちなみにAmazon.co.jpは対応しているのですが、Amazon Businessは現在対応がまだの様です。
6.マネーフォワードクラウドBox
マネーフォワードクラウド会計利用者は、マネーフォワードクラウドBoxが無料で使うことができます。マネーフォワードクラウドBoxなら電子帳簿保存法(電子取引区分)に必要な機能が揃っています。
*マネーフォワードクラウドBoxは、マネーフォワードクラウドを契約していない事業者でも無料で利用できます。(R4年6月現在)
マネーフォワードクラウドBoxの特徴
マネーフォワードクラウドBoxのサンプル画面
マネーフォワードクラウドBoxは、電子帳簿保存法の検索要件である「取引先名」「日付」「金額」などの情報を合わせて保存し、検索することができます。
さらに、証憑自動取得機能より自動取り込みのみでなく、手動でもPCで保管している請求書等のPDFデータも下の画面の赤枠部分のアップロードをクリックして保存することが可能です。非対応のECサイトなどは手動で登録できますので便利です。将来的にはOCR対応も予定されています。
注)サンプル画面なので会社名や名前は空白表示しています。
7.最後に
電子取引の電子保存の宥恕措置は令和5年12月末まではございますが、期限ギリギリでいきなり導入は厳しいと思われますので、今から少しづつ電子保存に慣れる必要があると思います。今後は証憑自動取得機能に対応可能なECサイトが増え、マネーフォワードクラウドBoxのOCR対応など益々便利に利用できますので、ご検討されてみてはいかがでしょうか。
京都・宇治市のケイ・アイ&パートナーズ税理士法人では、マネーフォワードクラウド会計、freee会計、弥生会計の導入支援や運用アドバイス、マネーフォワードクラウドBoxや証憑自動取得機能の利用相談を事前予約制で行っていますので、お気軽にお問合せください。