消費税の2つの課税方式を比較

著者:ケイ・アイ&パートナーズ税理士法人
投稿日:2013年11月18日

平成26年度税制改正では消費税の課税方式の一つである「簡易課税方式」の見直しが検討されています。
この簡易課税方式は、中小企業者の事務負担を軽くするという趣旨で消費税導入時に創設されたものでありますが、この課税方式だと消費税の一部が事業者の手元に残る「益税」部分があり、今回の改正で見直し検討されているのは、この益税の縮小を図る内容です。

現行の消費税の課税方式を計算例(税込み)を交えて解説致します。
(例)小売業
売上高 2,100万円 仕入高 525万円 給料 500万円 テナント家賃 525万円 利益 450万円
*計算例は、わかりやすくするために、簡易な方法で計算説明しています。  

原則課税方式

消費税の課税方式は、基本は原則課税方式となります。

[課税売上に係る消費税]
売上高2,100万円×5/105=100万円・・・①

[課税仕入に係る消費税]
(仕入高525万円+家賃525万円)×5/105=50万円・・・②

[原則課税方式による消費税の納税額]
①ー②=50万円

簡易課税方式

簡易課税方式とは、その課税期間の前々年又は前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することに変えて、「みなし仕入れ率」を適用して計算を行い、消費税の納税額を算出します。

[課税売上に係る消費税]
売上高2,100万円×5/105=100万円・・・③

[みなし仕入率による仕入税額控除]
③×みなし仕入率80%=80万円・・・④
*みなし仕入れ率:卸売業90%、小売業80%、製造業等70%、その他の事業60%、サービス業等50%

[簡易課税方式による消費税の納税額]
③ー④=20万円

 
簡易課税方式を選択する場合には、適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中)に簡易課税制度選択届出書の提出が必要となります。また、簡易課税方式を選択すると2年間はこの方式による計算となりますので、この間は実額計算による仕入税額の控除(原則課税方式)に原則戻すことはできません。

 

上記の計算例は極端な例ですが、原則課税方式の消費税額は50万円、簡易課税方式の消費税額は20万円となり、簡易課税方式を選択している場合は30万円有利になります。
このように課税方式の違いにより益税が発生します。

平成26年度改正では、金融保険業や不動産業を中心にみなし仕入れ率を実際の仕入れ率に近づける見直しが検討されているようです。

カテゴリ:消費税

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