海外中古不動産の節税スキームに歯止め!?

著者:ケイ・アイ&パートナーズ税理士法人
投稿日:2019年12月02日

高額所得者向け個人の節税スキームで海外中古不動産を購入して、4年間(減価償却費が計上できる期間)多額の減価償却費を経費に算入し、不動産所得を赤字にすることにより、他の所得と損益通算を行い節税を行います。また、6年目で当該不動産を売却することにより、高額所得者の通常の税率より低い長期譲渡所得(5年超所有、税率20%)の税率を適用するスキームです。

では、具体的にどのような効果がでるかを簡単に説明します。

具体例

課税所得が2,000万円の方が下記のアメリカの物件を購入して賃貸した場合

建物価額:4,000万円 土地価額:1,000万円 合計:5,000万円
想定不動産所得(減価償却費を除く)200万円/年
木造 築年数25年
耐用年数 4年 *中古 法定耐用年数の全部を経過 22年×0.2=4年(端数切捨て)
減価償却費 4,000万円×0.25(定額法 4年)=1,000万円

節税効果

《海外不動産を購入前の税金》
課税所得 2,000万円 → 所得税531万円、住民税200万円 合計 約731万円・・・①

《海外不動産を購入後の税金》
既存の課税所得2,000万円+想定不動産所得200万円ー減価償却費1,000万円=1,200万円
課税所得 1,200万円 → 所得税247万円、住民税120万円 合計 約367万円・・・②

1年あたりの節税額 ①ー②=364万円・・・③
∴4年間の節税額 ③×4年間=1,456万円・・・④

6年目の売却時の税金

購入価額と同じ5,000万円で売却できた場合

長期譲渡所得 5,000万円ー1,000万円=4,000万円
所得税612万円、住民税200万円 合計 約812万円・・・⑤

まとめ

4年間の節税効果から6年目の売却時の税金を控除すると
④ー⑤=644万円・・・⑥
*5年目は減価償却がゼロになるので考慮していません。

《4年間での実質的効果》
想定不動産所得200万円(減価償却費を除く)×4年+⑥=1,444万円

このように節税効果が大きく、投資額に対しての利回りが高いのがわかります。
為替のリスクや売却価額の問題などリスクもありますが、海外中古不動産投資が注目を集めています。

しかし、2019年11月27日の日経朝刊に記載された記事によると、「政府・与党が海外の不動産への投資を通じた節税をできないようにする方針。与党の税制調査会で詳細を詰め、2020年度の税制改正大綱に所得税法の見直しを盛り込む。2021年分以降の所得税に適用される見通し」などと伝えており、海外不動産投資の節税スキームに歯止めがかかる見通しとなってきました。今後の税制改正が気になるところです。2019.4月改正では法人向けの定期保険など全損扱いであった商品が解約返戻率が高いものは全損とならない改正が入りました。昨今では、節税効果が高いものは税制改正が入り、歯止めがかかっていくように思えます。

カテゴリ:トピックス, 所得税, 節税

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