過去の記事で青色申告特別控除の要件などでは記帳が必要と述べましたが、税務のためにも記帳することは必要です。しかし、それだけでしょうか?自社の取引を記帳してまとめて行き、最終的には会社の財政状態・経営成績を把握するために作成します。
よく伺うお話が、利益は出るのだがお金が残らない?
これはどういうことでしょうか?
簡単な例を使って考えますと、以下のような場合です。
売上高 1,000万円
売上原価 600万円
経費 250万円
利益 150万円
経営成績からすると、年15%の黒字計上と問題ないのですが、仕入・経費がすべて現金払いで、売上のみが掛け取引で翌事業年度に入金されることとなれば。。。
資金ショートを起こしますよね!決算書上では150万円の利益ですが、資金は850万円(仕入600万円+経費250万円)ショートします。
実際の経営では、このような単純なものだけでなく、「在庫が多い」「売掛金の未回収が増加した」「借入金の元金返済が利益償還できていない」「使途不明金がある」など複合的な場合もあります。
いくら儲かっているかを把握することは大切な事ですが、それプラス「キャッシュフロー」を把握することは会社にとって重要なのです。どんなに直近の決算が黒字でも、キャッシュフローに行き詰まれば「勘定合って銭足らず」になり、会社はジ・エンドなのです。
会社の実績を数値で把握・分析を行っていますと、その実績をもとにある程度予測することも可能になります。土壇場になってキャッシュが足らないという事態になると一大事です。「長期滞留売掛金を回収」「在庫処分」「銀行借入」などの資金手当も予測を行っていれば余裕をもって行えます。
将来の目標に向けての経営計画を策定する時にでも、実績数値を把握・分析出来ていれば、より具体化されます。数値のみでなく、それに伴ったアクションが必要なのは言うまでもありませんが、後にチェックを行う時にも数値でどうだったのかを測ることが大切です。
記帳はそれらのベースになります。記帳すること自体で、直接収益に結びつくわけでもなく軽視されることもありますが、これを機会に会社の取引を記帳することの重要性をご確認頂ければと思います。
最近、便利な会計ソフトが出ていますので、手書きよりは慣れて頂くと作業効率は上がりますし、計数管理を行いやすいです。おすすめなのは「弥生会計」やクラウド会計サービスの「Crew」「freee」などです。
会計ソフトの導入の際は、お気軽にご相談ください。