12/10(水)に自民党のホームページで令和4年度税制改正大綱が発表されました。税制改正大綱なので国会へ提出した段階で決定ではありませんが、通常は来年2月頃には法案成立する見込みです。今回は個人的に令和4年度税制改正大綱で気になったところをピックアップして紹介したいと思います。
- ■ 1. 【個人所得課税】住宅ローン減税
- ■ 2. 【法人課税】所得拡大促進税制
- ■ 3. 【納税環境整備】電子帳簿保存法
- ■ 4. 最後に
1.【個人所得課税】住宅ローン減税
こちらは不利な税制改正になりそうです。今までは控除率が1.0%→0.7%へ引き下げられます。令和4年から令和7年までに居住の用に供した場合には控除率が0.7%なりますが、令和4年~令和5年は控除期間が10年→13年へ延びます。令和4年度税制改正大綱の一部抜粋は以下のとおりです。
引用元:令和4年度税制改正大綱
2.【法人課税】所得拡大促進税制
こちらは有利な税制改正になります。実務的にも税額が高額にでる会社は所得拡大促進税制をよく使って節税を行うのですが、法人税から差し引ける控除率の最大値が以下のようになります。
■控除率
大企業・・・20%→30%へ引き上げ
中小企業・・・25%→40%へ引き上げ
■適用期間
令和4年4月1日~令和6年3月31日までの間に開始する事業年度
*青色申告書を提出する法人に限る。
法人の約6割が赤字企業と言われる中、実務に携わっての感覚は、現状、この所得拡大促進税制の恩恵を受けられる企業は限られていますが、これからコロナ感染が終息して経済が活性化して景気がよくなってくると、所得拡大促進税制の恩恵を受けられる企業が増えてくることを期待します。
3.【納税環境整備】電子帳簿保存法
電子取引の電子データ保存が令和4年1月1日から適用されることで、実務的には、非常に大変なことで慌てて準備や案内を行ってきました。PCに不慣れの方やどのシステムを使ったらいいのか?コスト負担増になるのでは?などの問題が多くある中、この土壇場にきて、令和4年度税制改正大綱では宥恕措置が発表されました。
令和4年1月1日~令和5年12月31日までは、電子取引で受け取った書類の電子データ保存義務を猶予するという内容です。
ただし、宥恕措置があることなどから、インボイス制度導入後の令和6年1月1日以降は厳格化されるのではないでしょうか。この2年間で電子取引の電子データ保存が実現できるように整備を行っていく必要がありそうです。
引用元:令和4年度税制改正大綱
4.最後に
この中で個人的に一番衝撃を受けたのが電子データ保存義務の宥恕措置でした。この法案が成立すれば、実務が混乱する中、来年から2年間という準備期間が設けられることにもなりますのでホッとする思いです。今回の令和4年度税制改正大綱のすべてを確認されたい場合は、自民党が公表しています▶令和4年度税制改正大綱をご覧ください。
京都・宇治市のケイ・アイ&パートナーズ税理士法人では、電子取引の電子データ保存などのご相談を予約制で行っています。お気軽にお問い合わせください。
電子取引の電子データ保存などの▶電子帳簿保存法の対応!(前回記事)もご参考にしてください。