メタボなお腹を気にしているある男性が、毎日30分のウォーキングを始めました。
3週間ほど続けたところで周囲から「痩せたね」と言われるようになり、あと5キロ体重を落とそうと気合いを入れ直した途端、なかなか体重が減らない停滞期がやってきました。彼は体重計に乗るたびに「また今日も減ってない」とガッカリして、結局1ヶ月半ほどでウォーキングをやめてしまったそうです。「体重が減らないからウォーキングがつまらなくなった」その気持ちはよくわかります。ただ数字だけを追っていると、いずれは飽きてしまうでしょう。
目標を立てるときは、具体的な数字を示した「数値目標」が望ましいと言われます。目標値が明確であれば評価が可能になり、達成感を得やすいからです。しかし、数値目標が目先の数字を追いかけるだけのゲームになってしまったら、数字をクリアしたときは満足できても結果が出ないときには粘り抜けません。
思うように進まなくても飽きずに努力を続けていくには、数値目標の先に「何か」が必要です。「何か」とは、いわゆるイメージです。先ほどの男性ならメタボが解消されて体調が良くなり、さらには痩せてスーツが似合うようになった自分を「最近○○さん素敵になったわね」と女子社員がうわさして、おおいに自尊心をくすぐられる。そこまでのイメージをしっかり描いていたら目先の数字ではなく、そのイメージを追い続けてもう少し頑張れたかもしれません。
例えば社員が個人の数値目標を立てるとき、その数字が会社から一方的に与えられた売上目標のようなものであれば、ウォーキングの男性と同じことが起こるでしょう。
売上目標はもちろん大事ですが、数字の根拠となるイメージはもっと重要です。売上目標という数字の先にあるビジョンを社員がイメージできる工夫をしているかどうか。せっかく目標を立てるのなら闇雲に数字を追うのではなく、経営者も社員もワクワクするような楽しいビジョンを共有しようではありませんか。