相続の後に苦労しますのが被相続人が所有していた不動産や株式、預金口座などの相続手続です。特に複数ある場合や法定相続人が多い場合には、手続きを行うごとに、戸籍の束を窓口に提出して行うことになるのですが、いちいち返却を受ける必要があり面倒です。このような時に便利なのが「法定相続情報証明制度」の活用です。今回は法定相続情報証明制度について簡単に説明させて頂きます。
- ■ 1. 法定相続情報証明制度とは
- ■ 2. 相続の手続が簡単に
- ■ 3. 法定相続情報一覧図サンプル
- ■ 4. 法定相続情報証明制度の手続の流れ
- ■ 5. 必要書類
- ■ 6. 最後に
1.法定相続情報証明制度とは
法務局に戸籍謄本などの必要書類と相続関係を一覧にした図を提出すれば、登記官がその一覧図に認証を付した「法定相続情報一覧図」の写しの交付を受けられる制度です。相続手続きには、戸除籍謄本等の代わりに、法定相続情報一覧図の写しを提出します。
2.相続の手続が簡単に
従来は、例えば、A銀行へ戸籍謄本等の束を持参して相続手続きを行い、手続き後に戸籍謄本等の束を返却を受けてからB銀行へという流れで、大量の書類がその都度必要となり手間が掛かります。これが法定相続情報証明制度を活用することにより、法務局の方から法定相続情報一覧図の写しの交付を受けることで、戸籍謄本等の束に代替えすることができます。
*相続放棄や遺産分割協議の書類は別途必要となります。
3.法定相続情報一覧図サンプル
相続人又は代理人が法定相続情報一覧図を作成して必要書類と一緒に法務局へ提出すれば、以下のような法定相続情報一覧図の写しの交付を無料で受けることができます。法定相続情報一覧図の作成は、税理士や司法書士などに依頼することも可能です。
4.法定相続情報証明制度の手続の流れ
法定相続情報証明制度の手続の流れは次のとおりです。
申出
①戸籍謄本等の収集
②法定相続情報一覧図の作成
③申出書を記載し、必要書類と一緒に法務局へ提出
確認・交付
④登記官による確認と法定相続情報一覧図の保管
⑤認証文付き法定相続情報一覧図の写しの交付、戸除籍謄本等の返却
利用
⑥各種の相続手続への利用
5.必要書類
法定相続情報証明制度の手続に必要な書類は以下のとおりです。
必ず用意する書類
①被相続人(亡くなられた方)の戸除籍謄本・・・被相続人の本籍地の市区町村役場
*出生から亡くなられるまでの連続した戸籍謄本(原戸籍)及び除籍謄本
②被相続人(亡くなられた方)の住民票の除票・・・被相続人の最後の住所地の市区町村役場
③相続人の戸籍謄抄本・・・各相続人の本籍地の市区町村役場
*相続人全員の現在の戸籍謄本又は抄本
④申出人(相続人の代表となって手続を進める方)の氏名・住所を確認することができる公的書類
・運転免許証の表裏両面のコピー
・マイナンバーカードの表面のコピー
・住民票記載事項証明書(住民票の写し) など
必要となる場合がある書類
【法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合】
⑤各相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し)・・・各相続人の住所地の市区町村役場
【委任による代理人が申出の手続をする場合】
⑥委任状
⑥-1(親族が代理する場合)申出人と代理人が親族関係にあることが分かる戸籍謄本・・・市区町村役場
*①又は③の書類で親族関係が分かる場合は不要。
⑥-2(資格者代理人が代理する場合)資格者代理人団体所定の身分証明書の写し等
【②の書類を取得することができない場合】
被相続人の戸籍の附票・・・被相続人の本籍地の市区町村役場
6.最後に
法定相続情報証明制度を利用すれば、無料で「法定相続情報一覧図の写し」を再発行ができたり、複数の相続手続きを同時に進めることができます。相続手続きの受付機関でも相続人を確認する手間が軽減されることにより、手続きがスピーディー行えます。申出の手間はございますが、税理士等にご依頼していただくことも可能ですので、活用されてみてはいかがでしょうか。
京都・宇治市のケイ・アイ&パートナーズ税理士法人では、相続申告や手続きなどの無料相談(初回のみ無料)を行っていますので、お気軽にご相談ください。