相続した空き家を譲渡した場合の優遇税制!?

著者:ケイ・アイ&パートナーズ税理士法人
投稿日:2017年11月27日

被相続人から空き家を相続して、維持費が掛かる!空き家がやばい状態に!譲渡した場合は税金が高額になる!というようなお悩みの方には、一定の要件はございますが、被相続人の居住の用に供していた家屋及び土地を相続した相続人が、当該家屋又は土地を譲渡した場合に3,000万円の特別控除を受けられます。今回は被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例をご紹介致します。

概要

相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む。)又は取壊し後の土地を譲渡した場合(平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間の譲渡)には、一定の要件に該当する場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。

譲渡所得=売却価額ー取得費(売却価額×5%*)ー譲渡費用(建物取壊し費用など)-3,000万円特別控除
*取得費が不明な場合、売却価額の5%で計算

相続した家屋の要件

特例の対象となる家屋は、次の要件を満たすことが必要です。

① 相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものであること

② 相続の開始の直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかったものであること

③ 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く。)であること

④ 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと
(相続した家屋を取り壊して土地のみを譲渡する場合には、取り壊した家屋について相続の時から当該取壊しの時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと、かつ、土地について相続の時から当該譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと)

譲渡する際の要件

特例の対象となる譲渡は、次の要件を満たすことが必要です。

① 譲渡価額が1億円以下

② 家屋を譲渡する場合(その敷地の用に供されている土地等も併せて譲渡する場合も含む。)、当該譲渡時において、当該家屋が現行の耐震基準に適合するものである

添付書類

1.相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売った場合

● 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)〔土地・建物用〕
● 売った資産の登記事項証明書等
● 売った資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」
● 耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し
● 売買契約書の写し

2.相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売った場合

● 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)〔土地・建物用〕
● 売った資産の登記事項証明書等
● 売った資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」
● 売買契約書の写し

*市区町村長から交付を受ける被相続人居住用家屋等確認書は、確認書類の提出や発行に時間を要しますので、確定申告前に余裕を持って申請されることをおすすめします。

他の税制との適用関係

● 相続した空き家を譲渡した場合の3,000万円特別控除と相続財産譲渡時の取得費加算特例は選択適用

● 相続した空き家を譲渡した場合の3,000万円特別控除は、自己居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除*又は自己居住用財産の買換え等に係る特例措置のいずれかとの併用可能
*同一年内に併用する場合、2つの特例合わせて3,000万円が控除限度額となる。

カテゴリ:所得税, 確定申告, 節税

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