今週より本格的に所得税の確定申告シーズンに突入します。その所得税の確定申告で消費税の計算も同時にされる方が多いと思いますが、個人事業者の場合、この消費税の経理方法は「税込経理方式」を採用されている方が圧倒的に多いです。税込経理方式を採用されている場合に、消費税等の未払計上を活用した節税対策をご案内します。
まず消費税等の経理方式で「税込経理方式」と「税抜経理方式」がございます。
例示を交えて確認していきましょう。
・「税込経理方式」とは、本体価格に消費税等を含めて経理処理する方法
(例)現金仕入10,500円(うち消費税500円)の取引仕訳
(仕入)10,500円 /(現金)10,500円
・「税抜経理方式」とは、本体価格と消費税等を区別して経理処理する方法
(例)現金仕入10,500円(うち消費税500円)の取引仕訳
(仕入)10,000円 /(現金)10,500円
(仮払消費税等)500円
ご覧のように「税抜経理方式」の方が経理処理する上で一つの取引であっても、仕入と仮払消費税等をわける必要があり、個人事業者では事務負担を考えても、取引量が少なく簡素化されるので、「税込経理方式」を多く採用されるのではないでしょうか。
「税込経理方式」を採用している場合は、納付すべき消費税等の金額を「租税公課」という科目を使って経費処理します。この経費計上する時期は以下のとおりです。
[原則]申告書が提出された日の属する年
[特例]未払金(未払消費税等)として経費計上した年
原則では申告書が提出された日の属する年、つまり翌年の経費となります。実務的に多いのは支払いベースで計上されていることが多い、この方法での経費計上です。
ここで本題ですが、特例の場合は、納付すべき消費税等の金額を未払金(未払消費税等)として計上した年に経費化できるのです!
消費税がはじめて課税される年で考えると、原則で行けばその年は消費税等は計上されず、経費化は翌年になります。一方、未払金(未払消費税等)として計上すればその年で経費化されます。
期間損益を考えると特例による方が正しく計上されることにもなり、その年で経費計上するということは節税になります。
このように、納付すべき消費税等の金額を未払金(未払消費税等)として計上する経理処理を一度検討されてみてはいかがでしょうか。